2007年06月18日

6.16 俺の旅 〜追憶の秩父〜

今日は地元埼玉の秩父へ。
渓流はいいよ〜、ホントに心が洗われる。
滝や緑はマイナスイオンが出てるなんて言うけど、ホントにそうなんだろうね。
ここ数日、トレーニングやりすぎて、ちょっと疲れ気味だから、今日はのんびりと渓流を楽しむつもり。
4時半過ぎに、奥秩父の某川に到着。
今日は無理をしないって決めてたから、楽に下りられるところを見つけて入渓した。
この川は、前に来た時にイワナの反応が良かったんだ。その時はチェイスが何度も見られた。
今日は釣れるかな?
先週の半ばに雨が降ったせいか、川は少々増水気味。
雑誌で読んだんだけど、イワナは増水を利用してどんどん上流に上るんだって。もしかしたら、この先にある大きな落ち込みが魚止めになってて、イワナうようよかも!
そんな期待を込めながら釣り上がる。
前回チェイスが頻発した小さな落ち込みを丁寧に打っていくけど、まったく反応がない。
おかしいなあ……。
ひとつの落ち込みにつき、1投ずつしか投げてないから、すぐに魚止めの大きな落ち込みに着いちゃった。
IMGP1584.JPG
さあ、期待通りになるのか?
今年、実績の高いシルバークリークシャッドの赤金をキャスト!
流れを横切るようにトゥイッチしてくると、コン!
ヒットだ! 引きからしてあまり大きくないようだ。一気に引き寄せると、抜き上げ!
驚いた! ヤマメだ。16センチくらい。
前回もイワナのチェイスばかりだったし、こんな奥にヤマメがいると思ってなかった。
IMGP1560.JPG
素晴らしく綺麗なパーマーク。いやあ、これを見ると疲れが吹っ飛ぶね。
さらに、まだ居るんじゃないかと立ち位置を変えてキャスト、トゥイッチしていると、また食った!
流れを横切って強引に寄せてキャッチ!
今度はちょっとだけサイズアップ。20センチくらいありそうだ。
IMGP1568.JPG
いや〜、渓流でこんな短時間で釣れたこと無かったから、ホント嬉しいね〜。
もうすでに半分満足してたんだけど、もうちょっとだけやって行こう。
一度車に戻って、別の川へ。今日は釣果は上がったし、開拓しておこうっと。
今日は無理しないって決めてたから、あんまりきつそうなところには行くつもりはなかったんだけど、気がついたら、また結構な斜面を下りてたよ。
落ち込みがあって打ったけど反応なし。
しかも、ここ岩に囲まれてて、上にも下にも移動できない……戻るしかないな。
けど、軽い気持ちで下りてきたんだけど、上るとなるとかなりキツかった。数分で下りたところを、上るのにはたぶん10分以上かかってしまった。
すこし歩くと、堰堤を発見。
これもまたポイントだろうね。
下流に回り込んで上がっていき、ミノーを投げてトゥイッチ。
すると、モワンと重くなった。一気に引き寄せてランディング。
IMGP1570.JPG
これもヤマメ! 今度のはパーマークが消えかかった銀色の18センチくらい。
川が変わると魚の色も違うんだね〜。
さらに同じ堰堤で角度を変えてキャストすると、またヒット。
んわ、すげえ! あっという間に4匹めが釣れちゃった。同じく18センチだったけど、今度のはきれいなパーマーク。
IMGP1579.JPG
IMGP1581.JPG
同じとこでも固体差があるんだなあ。
よく考えたら、釣りをはじめて1時間くらいしか経ってないよ。こんな短時間で4匹なんて、はじめてだね。
大満足。
その後、開拓のために2時間程沢歩きしたら眠くなっちゃった。
車に戻り、秩父湖畔へ移動して、昼寝……ってゆうかまだ朝の8時半だから朝寝w
目が覚めたら10時半だった。秩父湖を覗くと、巨大なカープが群れてた。シケイダーを投げたら、一瞬だけ反応したけど、すぐに素通り。
なんか今日はすごく満足しちゃったから、もう帰ろうっと。
帰りに、どうせ来たなら!と大滝温泉に寄った。最近、かなりオッチャンになってきて、温泉がタマラなく楽しいんだよね。
入浴料600円。かなり良かったよ。
IMGP1595.JPG
IMGP1605.JPG
お風呂がふたつあって、その前には荒川が流れてるの。
IMGP1607.JPG
絶景を眺めながら、体を癒した。
お風呂の後、休憩室に行ったら、マッサージ機があった。10分100円。これがすんごいの。かなり古い型のマッサージ機だからめちゃくちゃ痛い。硬いボールみたいのが、背中をドコドコ叩くだけだもん。
IMGP1612.JPG
あまりの痛さに耐えきれず、3分程で終了。
IMGP1611.JPG
ちちぶのジュースを飲んで温泉を後にした。
その後は、昼飯を食おうと、あの悦楽園を目指した……が、その途中で衝撃的な店を発見。
IMGP1616.JPG
IMGP1617.JPG
「安田屋」。ここって、オレが学生の頃やってたトラックの荷下ろしのバイト中に運チャンに連れてきてもらったんだ。
すんげえんまくて、また来たいって思ってたんだけど、ずっと見つけられずにいたの。わらじかつ丼って言って、すんごいでかいとんかつが2枚も乗ってて900円。
IMGP1614.JPG
IMGP1615.JPG
普通のかつ丼と違って、アツアツのとんかつに天丼みたいにダシがかかってつだけなんだけど、死ぬ程んめえ!
口の中を火傷しながら、とにかくかき込む、そしてとんかつにかぶりついて、また飯をかき込む! 最高!!
一気にたいらげた。
渓流釣り、温泉、わらじかつ丼と、どれも大満足。午前中のみで秩父を満喫したお得な一日(半日)だった。
posted by やすだ at 11:48| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 渓流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月03日

6.2 山と釣りとヤスダシンゴ

滝太郎はその昔よりO池に棲む珍魚なり……
身の丈およそ三尺三寸にして体側に斑点あり……
冷水を好み直射日光をきらう故水底深くにすみ
時折水面に出ては餌をあさる
食性は貪欲なれど警戒心がすこぶる強く
敏捷にして人目につくことまれなり
秋には沢に登りて産卵しその一生を終わるも
屍骸が発見されたる試しなし
その身は白身にして美味なることこのうえなし
かつて幾百人これに挑みても……
釣られたる試しなし!!
※『釣りキチ三平』〜O池の滝太郎より

taki.jpg
『釣りキチ三平』が釣った魚を釣るのが私の夢である。
O池の滝太郎もそのひとつだった(滝太郎は三平も釣ることができなかった)。
マンガ内では謎の「O池」とされていた場所に実在のモデルがあったことを知ったのは昨年12月のことだった。
雑誌『アングリングファン』の付録DVDに「大鳥池のタキタロウに迫る!」という企画が収録されていたのだ。
6110GYH6S.jpg
マンガにあるような三尺三寸(1m)という大物は釣れなかったものの、50cmに迫る大イワナが釣り上げられていた。
行きたい!!
それからというもの、ネットで大鳥池とタキタロウに関する情報を調べまくった。情報は意外にも少ない。それは大鳥池に行くには、登山道を3時間も歩かなければならないことが起因しているのだろう。要するに、そこまで苦労して行く人は多くないということだ。
それでも、行きたい!!
とは思ったものの、大鳥池の解禁は6月1日だという。私は待切れず、釣行の準備をはじめた。
3時間の登山。山登りなんて未経験の私は、ザックさえ持っていない。大鳥池のある朝日連峰はなかなかに険しい山のようだ。3時間もかけていくからには向こうで宿泊しなければならない。幸い大鳥池にはタキタロウ山荘という山小屋があり、寝泊まりはできるそうだ。とはいえ設備は何もなく、食事は自炊。寝袋も持って行かなければならなかった。もちろん、山登りをするからには竿を片手になんてこともできない。ザックに収まるマルチピースロッドも必要だ。
行かれた方の釣行記を見ると荷物は10kgを超えるそうだ。
登山用品店に通った。お店のオジサンが大鳥池のすぐ近くの八久和川(山釣りで有名な川で50cmを超えるイワナがいるそう)経験者で、いろいろなアドバイスをもらい、65リットルのザックを購入した。
d02b640ea3f49acdcc017fbe88d.jpg
ネットでバーナーやコッヘル、7フィートのマルチピースロッド、シュラフや登山靴、さらにGPS付きの腕時計も買い込んだ。もちろん、ルアーもしこたま買った。おそらく、この釣行のために10万円以上は注ぎ込んだだろう。
さらに、予行練習とばかりに秩父の渓流に通い、過酷な沢登りを敢行した。
かねてから行なっていたダイエットも、山に登るためのトレーニングに切り替えた。

出撃を解禁直後の休みである6/2〜6/3に決定し、来るべき日に毎夜心踊らせた。1週間前に役場に問い合わせすると、車止めである泡滝ダム手前で道の崩落があり、現在車は通行止めになっているという。そこから泡滝ダムまで徒歩1時間、さらに山道を3時間だから計4時間の登山になる予定だ。
しかも雪渓があるため、アイゼン(登山口につける滑り止めのスパイク)とピッケル(氷に刺して滑落を防ぐツルハシみたいなやつ)は必携だとか。これだけで出費はさらに1万5000円となった……。

前日、やっとの思いでカーナビの使い方を覚えた。ギリギリでETCカードも届いた。
GPS付きの腕時計はついに覚えられなかったけど……。
とりあえずの準備は整った。釣り具とキャンプ用品、食料、そしてウェーダーを詰め込んだザックは、総重量12kgにも及んだ。
大丈夫なのだろうか? 不安もあったが、「タキタロウが釣れるかも」という期待が大きくそれを上回っていた。

当日。
カーナビを山形県朝日連峰にある泡滝ダムにセットして、深夜0時に自宅を出発した。現地まで473km、車を走らせた。
山形は遠い……私としては遠出の部類であったGW釣行の湯川がある日光道の分岐点でさえ、1/4も来ていない。
東北道から山形道に入る頃にはすっかり夜が明けていた。ここで問題発生。400kmを超えたところでガソリンを入れようと思ったのだが、スタンドがない。コンビニに入って聞いたら、15kmくらい行ったところ(目的地とはまったく別の方向)に開いているスタンドがあるらしい。国道を走ると、道端にガソリンスタンドがいっぱいあるのだが、どこも鎖がかかっている。酷いことに、このあたりではセルフのスタンドでも夜は閉まるようだ。やっと辿り着いた24時間営業のセルフスタンドで満タン入れると、目的地を目指した。30分のタイムロスだ。
途中、サクラマスで有名な赤川を渡ったり、toyoさんの地元という寒河江川も渡った。
どちらも水量が異常なくらいに豊富で、流れが重い。「重い」流れという表現があるのかどうかは分からないが、とにかく早いのでもなく激しいのでもなく、ゆったりとしているが押しの強そうな流れだった。関東にはいない大きな魚を育つ理由を見た気がした。
さらに走りカーナビの示す通り進むと、車止めへと行き着いた。ここから登山か……。
格闘技時代の古傷である両足首とヒザに編み上げ式のサポーターをガッチリ施すと、12kg……いや、1リットルのミネラルウォーターを積んだのでさらに1kg増えて13kgになったザックを背負い、車止めを越え夢の地を目指して歩き出した。
IMGP1476.JPG
時間は午前6時ジャストであった。
しかし、登山をはじめて数分、目を疑う光景が現れた。大崩落……。
IMGP1510.JPG
膨大な量の土砂が行く手を阻んでいる。小さな石がコロコロと今まさに転がっており、さらなる崩落がいつ起きてもおかしくない状態なのだ。こんなところを越えてゆかなければならないのか。早くも不安になった。なにしろ、直接的に死を予感させる……。
もしかしたら私は狂っているのかもしれない。そんな不安もすぐに断ち切り、数秒後にはその土砂を登り始めていたのだから。前回の秩父の時ような崖の途中で写真を撮影するなんて余裕もない。踏み締めたその足元がズルズルと崩れていくのだ。ザックの重みが肩とヒザにのしかかってくる。もう後戻りすることはできない。進むしかないのだ。
決死の突撃で、なんとか土砂を乗り越えた。まだ出発して10数分しか経ってないのに、すでに全身汗でびしょ濡れになっていた。
しかし、心は希望に満ちていた。こんな苦労をしてここを越える人は少ないだろう。もしかしたら、ポイントひとり占めかも。でも、山小屋の管理人がいなかったらどうしよう……。ところが嬉しいことにひとつの足跡が先に向かって続いていた。私はそれをなぞるように突き進んだ。
実は、この日のために5kgのダンベルプレートを入れたリュックを背負ってウォーキングをしてトレーニングしてきたのだが、それが無意味だったことが分かった。いや無意味ではないんだろうけど、5kgと13kgはあまりにも違い過ぎる。さらに山道を登るのと平たんな道を歩くのでは雲泥の差だ。とはいえ、進むしかない。
歩き始めて1時間。前回の秩父渓流は遡上1時間だったが、今回は荷物が5倍だ。気が遠くなってきた。
しかし、休憩を取ることができなかった。一度止まってしまったら……、一度ザックをおろしてしまったら、立ち上がるのが辛い気がしたからだ。
道端の水たまりにはカエルが産卵していた。
IMGP1481.JPG
眼前にはとてつもない雪渓が現れ、それも突き抜けた。
IMGP1496.JPG
IMGP1498.JPG
かなりのハイペースで歩いているのに、一向に大鳥池は現れない……本当にみんなこんな苦しい思いをして行くのだろうか。みんな狂ってるな……。ネットの情報では早い人なら2時間で着くと書いてあったのだが、着かないってことは、私は遅いのだろうか。かなりのスピードで上がってきていると思うのだが……。大鳥池までは車止めから4kmという。自分の感覚ではもう6kmは来てると思うのだが……。
不安にもなったが、しょせんは登山初心者だ。自分が思っている以上に進んでないのだろう。
谷の下を流れる川の果てが大鳥池なのだが、どんどん水が少なくなっている。しまいには、小さな滝になり地中に潜ってしまった。はて、どういうことか……まだまだ道は先に続いている。きっとこの先に大鳥池が広がっているに違いない。私は山の頂きへと続く道をさらに進んだ。
そして、ついに……。山の頂上に達していた。車止めから2時間55分の午前8時55分。
そこで、私は気の遠くなるような看板を目にした。
IMGP1499.JPG
「新潟県←|→山形県」
いったい、どういうことだ? 大鳥池は山形県内にある池だ。どうして県境が……。
ここではじめてザックを下ろした。昨日、念のために買っておいた5万分の1の登山地図を開く……。さらに、気が遠くなった。大鳥池があるのは東大鳥川の上流、地図を見る限り、私が登ってきたのはおそらく西大鳥川のようなのだ。いったい、どうして……。カーナビではちゃんと泡滝ダムにセットしたはずだ。しかし、地図を見ると、私が車を止めた付近にあったのは西大鳥ダムということになる。カーナビをセットし間違えたということか……。
体力はかなり限界にきているはずだ。タキタロウ小屋に着けば、荷物が下ろせる。身軽になって釣りができるという一心でとにかく歩き続けた。大鳥池までは4km、地図上の目測で、私はその3倍の12kmを登ってきたということになる。平たんな道を歩くようなスピードで、この険しい上り坂を3時間も来たのだ。頑張ったよなあ……。
でも、悲しいかな。上ったら下らなければならないのだ。そうしなければ遭難者になるのだから。
おそらく、足も傷んできているだろう。でも、その自覚症状が出る前に下ってしまおう。私は元来た道をひたすら下った。半分小走りのような早さだ。しかし、上りよりも楽そうに思えた下りは、実は相当に厳しかった。重力によって勝手に前に出てしまう足を制御しながら歩かなくてはならない。これが傷んだ足に激しく負担となった。さらに、上りの時はひたすら肩にかかっていたザックの重みが、今度は腰にかかってくる。前屈みになると歩きにスピードが出てしまうので、自然と体を立てようとする。それが、腰にのしかかってくるのだ。それでも歩いた。止まったら、立てなくなる……その恐怖心から歩き続けた。
しかし、10時……時計を見てついに心が折れた。小さな小さな池のほとりでへたり込んだ。ミネラルウォーターをガブ飲みしながら、ジワジワと熱い血液とともに痛みが足へと流れ込んでいるのが分かった。
でも、もう休憩なしではいられなかった。
ふと池を覗き込むと、何か動いている。水草を掻き分けてみると……。
IMGP1507.JPG
おっイモリだ!! いっぱいいる。野生のイモリなんて見るのは、小学5年生の福島の林間学校以来だな。
水中にカメラを突っ込み、イモリを撮影。なんか心が和らいで、歩く気になった。
ザックは重みを増していた。足の痛みが厳しくなっていた。休憩する前は自覚していなかったが、足の裏にいくつもマメができているのが分かる。でも靴下を脱いでそれを確認することによって、さらに痛みが増すような気がしたので見ないで歩き出した。
一度折れた心はやはりまたすぐに折れる……というよりは、あの一度の休憩で、脳が体の傷みを自覚してしまったようで、「痛い」という信号を送ってくる。30分に一度休憩を入れなければ歩くことができなくなっていた。そして、11時40分、ついに朝乗り越えた土砂に達していた。これを過ぎれば、間もなく車だ。
すでに曲げることさえままならなくなっていたヒザを無理矢理持ち上げ、今にも崩れそうな岩や倒木を乗り越えた。11時55分生還……。
何度も休憩を入れたことを考えると、上りよりもかなりのハイペースで下ってきたことになる。きっと登山経験者でもびっくりのタイムだろうw
車を目にしたら、もうまったく動けなくなった。ヒザが曲がらない。
IMGP1509.JPG
安堵からか笑いが込み上げた。アホだなあ……ホント、アホだ。なんて無理をしたのだろう。私は、常々自分が「限界」と「死」が非常に近い人間だと言っているのだが、きっといつかこんな無理が祟って、限界をちょっとだけ超えて死んでしまうのかもしれないと思った。怖いね。
もう立てなくなった、寝転がったままザックを漁り、スニッカーズを食った。
不味い……。実は、スニッカーズを食うのは初めて。きっと登山にはこういうものを持って行くんだろうな、と買ってきた。チョコの下にキャラメルに包まれたピーナッツ。大汗かいて息を切らしてる時に食うもんじゃないな。
1時間も寝転がっていた。
靴下を脱いでみると、両足のほぼ全部の指の表と裏側、そして親指の下の部分にマメができていた。
ルアーについているバーブレスフックでひとつずつ穴を開けて、潰した。
ああ、私の夢は今日は叶えることができないな。
でも、こんなことをしていても仕方ないからとりあえず、車に戻ろう。両足が痛いので、どちらかを軸にして引きずるということもできない。うんこをもらした子供のように、足をズリズリしながら車に乗った。
カーナビをつけてみる。たしかに泡滝ダムが目的地登録されていた。
しかし、私が間違っていたのは、カーナビという機械が車道としてインプットされていない道は案内してくれないということ。カーナビは車道として登録されている、もっとも泡滝ダムから近いこの場所に私を案内したようだ。実際に地図を見てみると、泡滝ダムへは、ここに来る途中の道で折れ、多分砂利道のような林道を通って行くと思われた。やっぱり、地図を見ておくべきだった。ナビがあれば地図はいらなくなる……そんな文明の利器に溺れた大失敗であった。
時刻は午後1時を回っていた。普通に歩けるのなら、もう一度大鳥池を目指すことのできる時間だ。夕方に着いて小屋に泊まれば明日の朝から釣りができる。しかし、もう残された体力は……ない……ってゆうより、もうメーターを下に振り切ってマイナスになっているだろう。
とにかくどこかで飯を食おう。恨めしき西大鳥川沿いを車で下った。
すると、車道ギリギリまで川が接近している場所があった。窓を開けて覗き込んでみると……んはあ!!
なんと、イワナの群れだ。しかも秩父では見たことのないような尺上の大イワナが最低3匹は混ざっている。
ああ、これが東北の渓流なのか……雑誌などで読んで憧れていたのだが、ここまでとは……。すごい!!
釣り人とは不思議なもので、魚の姿を見たら、急に元気が出てきた。頭痛用に持ってきていた鎮痛剤を服用すると、ザックからルアーロッドを出し準備をした。準備をしている間に足の傷みはだいぶ和らいでいた。
だが、注意しなければならない。「痛み」は取れていても、「傷み」がなくなったわけではない。ウェーダーを履いて水の中に入ることはできない。車に積んであった長靴を履くと、岩に腰かけ釣りをはじめた。
一投目から、息が止まりそうだった。ここにいるのはイワナだけじゃない。なんと3匹ほどのヤマメが追ってきていた。さらに投げると、大型のイワナが追ってくる。青っぽい体に白い斑点でアメマスみたいなイワナだ。しかし、追ってはくるのだが食わせることができない。ルアーがでかいのか……。タキタロウ用に7cm以上のミノーばかりを持ってきていたから。そこで、車に戻り渓流用のルアーケースを持ち出した。手頃な岩に腰かけて4センチのミノーを結ぶと、岩の向こう側の見えないところへ投げる。そして、トゥイッチしながら引いてくると……ドン!
ロッドに衝撃が伝わってきた。さっきまでは立つこともままならなかったのに、瞬間的に竿を立てて立ち上がっていた。水面で長細い魚体が平を打った。濃紺の体に白い斑点、しかも尺はゆうに超える大イワナだ!
と、思った瞬間にバレてしまった。心臓がすごくバクバクしていた。バラシた悔しさよりもあんな大イワナがこんな普通の所にいるという感動だった。
しかし、もう同じ場所では食って来なかった。渓流の魚は警戒心が強い。この30mほどが、現在の体力でも釣りができる感じなのだが、ミノーに反応する魚はいなくなってしまった。スピナーにも反応がない。ならばと、大鳥池でのヒメマス用に用意しておいた管釣り用のスプーンにかえてみた。すると、1発目でヒット!
なんと良型のハヤ。
IMGP1513.JPG
ちょっと残念だったけど、今年初ハヤだから喜ぼう。
さらに、メバル用のカブラフックというのをつけたスプーンを投げると、目の前で尺近いイワナが食った……しかしフッキングせず、さらにも一匹これも尺近いイワナが……これもフッキングせず。
ああ、息詰まる攻防だった。これ以降、まったくアタリがなくなってしまった。フライも投げたけど反応なし。ノベ竿出して、バス用のマスバリとガン玉つけて川虫とってやってみたけど、小さいハヤに餌を取られるだけで、大イワナを手にすることはできなかった。
しかし、山県渓流のポテンシャルの高さを身をもって知ることができ、ちょっと満足した。
時刻は午後4時過ぎ。さて、どうしよう。もう、大鳥池に向かうのは時間的にも体力的にも無理だろう。
一晩、車中泊して体力回復したら、明日の朝向かおうか……。
そんなことを考えながら、何か食べないとと思い、小さなお店に寄ってパンとカップラーメンを購入した。オバチャンに大鳥池に行きたかったけど、道を間違えて、あっちのダムの車止めから歩いて新潟まで行ってしまったと言ったら、本当にびっくりしていた。
とりあえず、オバチャンに大鳥池への登山道の入り口のある泡滝ダムの行き方を聞くと、見るだけでも行ってみようと車を走らせた。
案の定、ナビ上の地図ではまったく道がないことになっているところを進んだ。
凄いところだった。
これは日本か!というような光景。渓流なのだが、渓流というには広過ぎる河原。木がはえたりしていて、湿原のようになっている。クマがマスを捕って食べていても不思議じゃない景色だ。東北というよりは、北海道やカナダ(行ったことないが)を連想させる。
そしてその先に泡滝ダムがあった。ちゃんとナビにも目的地マークが付いている。コノヤロウ!w
十数台の車が止まっているから、この人達は今晩はタキタロウ小屋泊まりなのだろう。
泡滝ダムの流れ出しも凄い水量で、大イワナがいる雰囲気満点だ。
ホントにこの重い流れには恐怖心さえ覚える。浅い瀬でも容易に渉れる感じではない。
運動靴で河原に立ってルアーを数投してみたのだが、流れが重過ぎてルアーの扱い方が分からない。
IMGP1519.JPG
諦めて車に戻ると、同じく運動靴で餌釣りをしていたオジサンが上がってきた。
「お兄さん、埼玉かい!」
私の車の大宮ナンバーを見て話しかけてきたらし。オジサンは同じ埼玉の朝霞から来ているのだとか。
私が大鳥池に行くつもりで間違えて西大鳥川を上ってしまい、新潟まで歩いてしまったことを話すと、ここでも驚かれた。西大鳥川で尺上のイワナをバラシたことを教えると、彼は車の中からクーラーボックスを出してきて見せてくれた。およそ30匹。尺上の鼻の曲がったすんごいイワナも混ざっていた。ヤマメもいる。
「昨日、戸田のキャスティングで餌買って、今朝来たんだけど、3時間もやってないよ。水ん中で履く靴が流されちゃってさ、できないんだよ。あ、でも、今これ釣ったんだよ」
と言って見せてくれたのもギリギリ尺はないくらいの泣き尺クラス。
「昔はさ、秩父も釣れたんだけど、どんどん釣れなくなってるからね。その点、このへんは最低でも28cmくらいが出るからな」
と言う。やっぱり凄いな、山形は!
オジサンと分かれてから、カップラーメンとレトルトのご飯と牛丼を食べる。外での食事はインスタントでも美味しいのだが、とにかく虫が多くて大変だった。
IMGP1525.JPG
ああ、どうしよう。ここで車中泊して、明日大鳥池を目指すか……しかし、4時に出発したとしても、泊まりの人は4時から釣りをはじめているだろう。その3時間後の7時に私が着いたとしても、釣りができるのは正午くらいまで。そこからまた3時間登山道を歩いて、さらに5時間以上のドライブということを考えると、ちょっと無理な気がしてきた。彼女も今回の釣行はすごく心配していたのだが、この状態で大鳥池に向かうのはさらにその心配を膨らませるだけだろう。
半年間、準備してきた夢の釣行だったけど、今回は諦めよう。またチャンスはある。13kgの重さとか、登山の厳しさも分かったし、山形の渓流のポテンシャルの高さにも触れることができた。何よりも自分の良いところ、悪いところが分かった。今回はちょっと夢の扉を開けに来ただけということで、帰路につくことにした。

いま釣行記を書きながら、ドライブインで買った「行者にんにく」でご飯を食べている。んまいなあ。一気に元気になりそうだ。無事帰って来られたから、こんなことも思える。
今朝、十数年ぶりに血の小便が出た。私の根性も捨てたもんじゃないなと思った。
強い思いと根性さえあれば、夢は叶うと思う。あとは、綿密な下調べ……特に地図の確認が必要だなww
posted by やすだ at 16:54| 埼玉 ☁| Comment(17) | TrackBack(0) | 渓流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月22日

5.20線路は続くよどこまでも♪

土曜日は『釣り情報』という雑誌の取材でマゴチ釣りに行ったのだが、あいにくの強風で出船中止。気持ちを切り替えて行ったフローターでは『釣り情報』の編集のMさんが不運にもタックルを水没させてしまい、敢え無く終了。
午後には家にいて、昼寝をして過ごしてしまったよ。
なんとも、悲しい1日だった。
そして迎えた日曜。秩父へイワナを狙いに行った。
秩父には秩父にしかいない固有種、秩父イワナがいるんだって。
しかも某川の源流には40センチを超える大物が生息しているとか。
先週古本屋で買った渓流釣りの本に書いてあって、居ても立ってもいられなくなった。
今年は夢の釣りを実現させようって思ってるんだけど、これは『釣りキチ三平』の「夜泣き谷の左膳イワナ』って感じだよね。人の入らない深い谷の奥に大イワナがいるっていう。
んなワケで夢の釣行第1弾だね!
mixiでやっている『埼玉渓流釣り』コミュニティで教えていただいたんだけど、秩父イワナの特徴は、体側の斑点がオレンジなんだって。
前回の釣行でも中津川にてイワナを釣ったんだけど、たしか斑点は白かったよな。
やっぱり、一度くらいは幻の秩父イワナが見てみたい!
そんなわけで出動となった。目指すは秩父でもっとも自然のままの渓流が残っているといわれる某川。
本によれば、かなり険しいらしくいつもより装備を厳重なものにしていった。
リュックにはマルチピースのルアーロッド2本とフライロッド、シングルバーナーに鍋、食料を入れて、それに熊鈴をつけておいた。
浦山口のセブンで釣り券を買って、現地車止めに着いたのが6時くらい。準備を済ませると、駐車場管理者に当てた手紙「お世話になります。駐車料金は下山時にお支払いします」と書いて、車のガラスに貼り源流に向け出発した。
秩父イワナが生息するという聖域へは、本によればこの車止めから徒歩で1時間25分かかるそう。
そんな山奥まで行ったら、きっとパラダイスが広がってるんだろうなあ……足取りも心なしか早くなったよ。
ところが、歩き始めて20分くらい経った頃、大事なものを忘れてしまった事に気づいた。
釣り券だ。
どうしよう……取りに戻ろうか……いや、この山奥まで鑑札にくることはないだろう……でも、他の釣り人に会ったら「こいつ、釣り券買ってない」って思われちゃうなあ……なんだかんだ悩んだ挙げ句、偏光グラスも忘れた事も判明し、取りに戻る事にした。
戻る途中、別の釣り人2人組とスレ違った。あ〜あ、忘れ物しなきゃ、源流へ一番乗りだったのにな。
20分だから1kmくらいあったのかな。車に戻り、釣り券と偏光グラスを持つと、再び出発だ。
源流への道程は、山肌を削るように続く線路を辿って行くんだ。これは昭和40年代まで森林伐採の運搬用に使われてたトロッコの線路なんだって。オレが生まれた頃には廃止されて、この山は閉ざされたそう。まくら木も土砂に埋もれて、年月の重みを感じるね。
IMGP1307.JPG
線路は続くよどこまでも♪ なんて具合にひたすら続いてるよ。
IMGP1308.JPG
IMGP1312.JPG
IMGP1314.JPG
時には谷川を眺めながら、ひたすら歩いた。
IMGP1316.JPG
IMGP1350.JPG
車が入れない、こんな山だから秩父イワナも残ってるんだろうね。
この川って、本当に難攻不落って感じ。切り立った崖に挟まれて入渓点が見当たらないよ。
途中で下りようにも、そのポイントが見つからない。
だから、とにかく線路の果てを目指すのみって感じだね。
歩くうちに、下を流れる川が渇水気味になってきた。来る前に情報として読んでいた本には、一般的な入渓点である某沢との出合いの前には取水場があり、その上はぐっと水量が増してゴルジュが続く渓になるとか。渇水気味だってことは取水場が近いのかも!なんて思ってたら、さっき戻る時にすれ違った2人組に追いついちゃった。かなりハイペースだったんだろうね。もう取水場が見えてきたもん。本ではここまで1時間25分って書いてあったのに1時間弱しかかからなかった。オレが20分戻ってる事を考えると、この2人組が平均的な速度なんだろうね。
入渓点到着。ここはちょっとした休憩所みたいになってる。先の2人組は休憩したかったみたいだけど、オレに先に入られまいと、無理して上流に向かったよ。
渓流のマナーとして、相手を追い越して先に行くのは失礼。
なので、オレはここから下流に向かった。
リュックからマルチピースのルアーロッドを取出すとすぐに釣りを開始だ。
こんなとこまで来ればパラダイスだろう!という期待とは裏腹に反応はない。
あっという間にさっき通り越した下流方向にある取水場まで来ちゃったよ。仕方ないのでもう一度来たままを引き返した。そして、さっきの2人組が向かっているであろう上流を後から追うことに。
30分もしないうちに彼らの姿が見えてきた。
彼らはエサ釣りだから、ルアーのオレと比べると移動のペースが遅いんだ。仕方ないのでオレもゆっくりじっくりやって行く事にした。
ところが、彼らの様子がおかしい。彼らは、50mほど上流の岩の上にいるんだけど、釣りもしないでこっちばっかり見てる……ってゆうか表情は遠くて分からないけど、睨みつけられてるようにさえ感じるよ。
別に距離をとってるし、しかもアナタたちが打った後をやってるんだし、いいじゃんって思った。
でも、彼らがなんでそんなにオレの事を見てるのか、その後で分かったよ。
IMGP1334.JPG
次の落ち込みには倒木が横倒しになってたんだけど、その倒木の枝に釣り糸が巻きついてたよ。オレ、渓流とかにゴミがあるのは嫌な人だから、その釣り糸を拾おうとしたのね。で、たぐっていくと……なんとその先にはオモリがついてて、さらに先にはハリがあって、ミミズがついてた。しかも、ミミズが生きてるからまだ仕掛けられたばかり……そう、たぶんあの2人組が仕掛けたんだよ。だからオレの事、監視してたんだ。
でも、どういうこと? なんの為にこんなことするんだろ。釣り味を楽しむための釣りじゃないのか。彼らはイワナを食べるために漁をしてるのと同じだよ。だって、こうやって仕掛けておいて帰りにかかった魚を回収して行くんだろ。生息数の減少が心配される秩父イワナがいるとされる川でこんなことをするのが信じられなかった。まあ、釣りをしない人からすれば釣りをしてる時点で魚には少なからずダメージを与えてるわけだから、オレは彼らに文句をいう立場ではないんだけど、ここまでしてイワナを捕まえて持ち帰ろうと考えている人がいることにショックを受けた。悲しくなった。腹が立った。
頭にきて、キャストミス。さらに回収する際に水中に沈んだ倒木にルアーが根掛かりしてしまった。それを外そうと竿を煽ると……バキ!
見れば、ラインを伝って、ロッドの上半分が水中に滑る落ちていくじゃん。一瞬、何が起こったかも分からなかったよ。
手元に残った半分を見て、ようやくその判断ができた。折れた……竿が折れちゃったよ〜。
IMGP1326.JPG
まっぷたつだった。急いで水の中に入って、ルアーを回収した。
力が抜けた。なんか昨日から、運が悪いな。いろんなバランスとかリズムが崩れちゃってるんだろうな。
こんな時はあんまり無理はしない方がいい。
折れた竿を袋にしまってリュックを背負うと、予備の竿も出さずに元来た道を戻った。線路の最後のとこまで来て休憩にした。水を飲みながら、ふと落ちついて見たら、再びショックなことが。こんな山奥なのに、タバコのフィルターとかおにぎりのパッケージとか落ちてるんだよ。なんか悔しくて泣きそうになりながら拾ったよ。心無い人はいるもんだな……。
まだ午前9時前だけど、トボトボと帰り始めた。
さっきの取水場を過ぎ……そういえば、この下ってどうなのかな。水は上と比べると少ない。本にも上流がポイントって書いてあったから魚は少ないのかな。それに、崖になってて、下りられないか……。どう考えても上流より条件が悪い。
IMGP1331.JPG
でも、待てよ、ってえことはあんまり人が入ってないんじゃん。前回の中津川もイワナが釣れたのは水量は問題じゃなかった。小さな落ち込みで飛び出して来たもんな。もしかしたら、人が入ってないこっちこそパラダイスなのかも!
急にやる気が出て崖を下りてた。
どうやって下りたのかはあんまり覚えてない。たぶん、思い出したらかなり危険なことやってるんだろうな。
予備で持ってきた7フィートの竿を出して振ってた。
かなりでっかい岩も登ったよ。
握力だけで体重を支えなくちゃいけないような岩盤も乗り越えた。
絶対にやめようと思ってた腰より深い激流も何度も渡っちゃった。
バランスを崩せばすぐに激流に流されて大変な事になるから、緊張したよ。
握力が途中で尽きて、岩から2m位下の激流に落ちたこともあったけど、運良く浅場に足がついて助かった。
なんか前回もそうだったけど、勝手にゴミ拾いしたご加護だと思ってるよ。
崖を登って、途中で上にも下にも行けなくなったけど、
IMGP1345.JPG
絶壁に生えた木の上で体力の回復を待って、勢いだけで登り切ったこともあった。
登った後で、よくまあこんな崖を上がってきたなあって思ったw
IMGP1348.JPG
体力つけといて良かったよ。半年前だったら、こんな無理もしなかったんだろうけど、今は無理をきかせられる体力がついたんだからちょっとくらいは頑張らないとね。
途中、お腹が減って、河原でそうめんを茹でて、生醤油とかつお節をかけて温麺で食べたよ。
IMGP1338.JPG
家で食べたら質素な食事も、こんなとこで食べたらごちそうだよね。
釣りの方も、たくさんのチェイスがあった。
何度もルアーの後ろを黒い影が追ってきた。
でも、ルアーを引ける距離が短いせいか、それとも魚の食い気がここまでなのか、ヒットまでは至らなかった。しかも、チェイスは絶対に一度だけなの。角度とかルアーを変えて引いても、同じ魚は二度と追って来なかったな。源流のイワナはそれだけ警戒心が強いってことなのか……。
タックルをフライに替えて2度、ドライにも出たよ。でも乗らない……。
きっとハックルのせいだな……今日はラインカッター忘れちゃったんだよね。だから、ハックルを切る事もできないや。
いつしか日は西に傾いてた。
釣果はないけど、焦りはない。実は、体ももうヘトヘトだった。下山する事を考えるとあと数投かな。
そう思いながら、小さな落ち込みにルアーを通すと、グワンと竿がしなって……水中で白いお腹が平を打った。来た! ……と思った瞬間にバラシ!
ああ、最後のチャンスだっただろうに……。
諦めかけた次の落ち込み。
同じように、SCシャッドを入れ、小さなトゥイッチを入れると!
バシャバシャバシャ!
ヒットだ!
もはや、余裕はない。
一気に抜き上げ!
ネット持ってるの忘れてたよw
やったあ! 
真っ黒な魚体に見事な朱色の斑点を身に纏っている。間違い無く伝説の秩父イワナだ!!
IMGP1357.JPG
IMGP1367.JPG
23センチ。
じわじわと嬉しさが込み上げてきて、鳥肌が立ったなあ。
石で小さな生け簀を作って写真を取ると、夢にまで見た赤い斑点をしばし眺めた。
今日は苦労した甲斐があったな……。
生け簀の石を崩すと、秩父イワナは元気に流れの中に戻っていった。
もしかしたら、夕方で活性が上がってるのかもしれないなあ。もうちょっとだけ、頑張ってみるか。
少し下ると大きな淵が出てきたよ。
ちょっと高巻きして大岩を超えると、下流側からアップクロスでキャスト。
ゆっくりとしたトゥイッチで誘う。
あ、ここ最近掴んできたんだ。激流の中でもSCシャッドなら大きくダートさせるトゥイッチでけっこうゆっくり引けちゃうってこと。これってベビーシャッドでもスピンムーブでもできない。SCシャッドなんだよねやっぱり。ってゆうか、このルアーでしかこの感じってできないの。すんげえお気に入りだよ。
トゥイッチしてわずかなポーズの後、ずしりと重くなり……食ったぞー! けっこう距離があるけど、もう一匹釣った後だから余裕があるよ。
ゆっくりと寄せて、ネットランディング!
IMGP1375.JPG
IMGP1383.JPG
これが、さっきよりひと回り大きい25センチ! 黄色っぽい魚体には、もちろんオレンジの斑点がある正真正銘のネイティブイワナだよん。
もう感動で震えたよ。
これにて大満足。
竿をリュックにしまって、最後の崖登り。
崖の途中で休憩しつつ、なんとか無事トロッコの線路まで辿り着いた。
疲れてるのに足取りは軽くなってたよ。
秩父イワナを釣り上げた充実感でいっぱいだった。
春ゼミの鳴く森を抜けて、思ったよりも早く車止めに到着。
これだけの苦労をして2匹。端から見たら、なんてバカな事をしてるんだって思うかもしれないけど、オレにとっては一生記憶に残る大事な2匹だったよ。

追記:下山途中自然観察に来たという方と話しました。イワナが釣れたと話すと「天然イワナを釣って料亭におろすと高く売れるらしいですよ」と言ってました。あの仕掛けをしていた方たちが、そんな輩なんでしょうか。数が減っていると言われている秩父イワナです。乱獲はしないでほしいと願います。
posted by やすだ at 11:03| 埼玉 ☁| Comment(8) | TrackBack(0) | 渓流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月28日

4.28 ぶーちち天国体験

もう足首がボロボロだ……。
正直、ここ数カ月で何度も痛めた。
格闘技時代に足首は何度も怪我してじん帯がユルユルだから、ちょっとの段差とかでも油断すると捻挫しちゃうんだよね。
実は、先日のバルさんとの秩父釣行でも、小さな石が足裏の下でちょっと動いただけで捻っちゃった。足首が90度に折れ曲がったよ。めっちゃ痛ぇ……。休憩するフリして座ってたんだけど、ホントは痛みで5分以上も立ち上がれなかった。
もうさ、ここまできたら値段が高いとか言ってられないなあ。
んなワケで、このたび奮発して、足首までヒモでぎゅっと締められるリバレイのウェーディングシューズを買っちゃった。これなら、ユルユルになった足首がガクンと内側に折れ曲がってしまうことはないもんね。それに伴い、ストッキングタイプのウェーダーも新調した。痛い出費だったけど、楽しく、安心して釣りをするには必要だよね。
買ったからには、履いてみたい! この靴を試す為に、GW初日の今日は秩父の渓流へと出かけることにしたよ。
今回は、この靴でとにかく歩いてみるというのがテーマ。
あと前回、ヤマメが釣れてルアーは封印宣言したんだけど、結局はあの魚は放流ものだし、どうしてもネイティブが釣りたい。ルアーでもフライでもいい! ってな具合にあっさり封印宣言撤回w とにかく人がいない険しい源流を目指すことに決めた。これなら、シューズの具合も確かめられるじゃん。
奥へ奥へと行くからには、昼だからって御飯のために戻ってくるのも大変だろう。だからお昼は持っていく。
リュックには、携帯ボンベとシングルバーナー、鍋、ミネラルウォーター、チタン製の食器、それにラーメンと紅茶のティーバックを詰め込んだ。
秩父からいつも行く浦山川を通り越し、さらに40分も奥地へ。前回、バルさんに連れていっていただいた川と分かれる別の川の上流へ。6時半にとある崖の上で車を停めた。
下にはエメラルドグリーンの谷川がザーザーと音を立てて流れている。
うっひょ〜、うっつくしい!
新しいウェーダーとシューズを履き、さらに新調したフィッシングベストを着込むと、用意してきたリュックにマルチピースのフライタックルを入れ、手にはルアータックルを握り、川へと向かった。
ってゆうか、土砂とともにズルズルと落ちていく感じw
IMGP1017.JPG
だってさ、降りるとこなんてないんだもん。すんごい崖なんだよ。転げ落ちたらちょっとやそっとの怪我じゃ済まないだろうね。だからズルズル。でもさ、こうして多少は無茶していかないと、ネイティブのお魚とは会えないよ、きっと……。
川縁に出るとすぐに釣りを始めた。
とりあえずは、ルアーで反応を見て、ライズとかあるようならフライにチェンジジしよう。
しかし、歩くことに重点を置いてるので、一カ所につき1投か2投ずつ。
それで反応がなければ、どんどん上る。
20分ほど上ったところで大きめの落ち込みが現れた。いかにも魚がいそうなポイントだぞ。
シャッドを投げ、ただ巻き!
すると……!! ひゅう〜ん……目の前まで黒い影が追いかけてきたよ。イワナかな?
でも追い切れなかったみたいで、帰っていっちゃった。
ならばと、パニッシュSPを結んで松本センセー直伝のフリ幅が大きくて移動距離の少ないトゥイッチ。
すると、3回め位でゴン!
きたよ〜!
一気にブッコ抜き!!
うっは〜……言葉を失うね……。これがネイティブのイワナか……。
IMGP1007.JPG
美しい。
ヒレもピンピンだし、色も模様も鮮やか!
秩父スゲエな……。
22センチだけど。サイズは関係ないでしょ。これは感動もんだよ……。
しばし浅い所に横たえて見つめていた……。
そしたら、急に元気になってジャンプして川へ帰って行っちゃった。
6時半に釣り始めて、まだ7時だけど、もう帰ってもいいな……そんな満足感だったよ。
しばし、放心状態。いやあ、良かった。今日は良い日だったなあ。
あ、忘れてた。歩かなくちゃ!
そう、今日の最大の目的はシューズの相性チェックだからね。
ここまではかなり良好。
足首の安心感も、いままでのウェーダーとは比べ物にならない。
じゃんじゃん進むと、また一際大きい落ち込みが現れたよ。
こっりゃあ、釣れそうだ。
今度はリッジディープを結ぶ。これも5年前くらいに買ったんだけど、いままで2匹くらい釣ってるから立派な一軍。
さっきと同じようにトゥイッチする……流れが落ちてる所を通り過ぎる瞬間に重くなった。
一瞬、流れのせいかな?とも思ったけど明らかに魚だよ。
竿を立てると、魚が見えた。 またイワナだ!
と思った瞬間、フックオフ。残念……。
しかし、さらに満足感いっぱいだったね。魚に会えただけで嬉しい!
ああ、もう何も起こらないうちに「いい気分」のまま帰りたいなあ。
とはいえ、遡上、遡上。靴のチェックだもんね。
すると今度は、ちょっとした淵が立ちはだかった。
ここは上らないとな。
岩を上った2歩目……ズルッ……完全に体が仰け反って空中にあった。
そのまま70センチ程だけど背中から岩の上にドスン!!
ああ、やっちまった……一瞬そう思った。大怪我した……。
いや、待てよ。どこも痛くないぞ……そうか、今日はリュックを背負ってるんだった。
縫いだトレーナーとタオル……それと空のペットボトルが5個くらいと空き缶数個。そのお陰で衝撃が吸収されたみたい。しかも入れてあったフライのロッドも折れてないよ。
実はさ、イワナが釣れたのが嬉しかったのと、こんなキレイな渓流にゴミが落ちてるのが悔しくて30分程ゴミ拾いしたんだよね。いい事はするもんだね。徳を積んだらいいことあるよ。
怪我をしなかったのを良い事に、調子に乗ってじゃんじゃん上る。
一応、1mくらいの小さな落ち込みにも1回はルアーを通す。
すると! コン! シュッポーン!
IMGP1024.JPG
ミニサイズ釣れちゃったよ〜! ちっこいけどキレイだね〜! めっちゃ嬉しい。12センチ!
2時間くらい上ったところで休憩。ラーメンを作って食べた。あ、鍋がさっきの転落の衝撃で変形してたよ。
IMGP1026.JPG
IMGP1028.JPG
でも、普通のラーメンなのにこんなとこで食べたら旨い!
アウトドア最高!
その後、タックルをフライに替えて釣り上がる。一度だけパシュ!って出たけど乗らなかった。
ああ、でも満足。
そういえば、靴はすこぶる快調だよ。まったく不安なく上っちゃったもん。
気がつけば、空は怪しい雲行きに。
道路に上がろうと思ったら、道路がないくらい上に来てたよ。かなり下に、車止めの看板があったからね。4kmくらい上がってたね。
自分の車までは、道路を歩いても40分くらいかかった。
車についた途端、雷が鳴って雨が降り始めたよ。ホント不思議だよね。やっぱゴミ拾いしたのが良かったかな。
IMGP1035.JPG
1時過ぎ納竿。
時間が早かったから、温泉に寄った。
IMGP1036.JPG
客がひとりもいなくて完全貸しきり状態。大声で演歌を歌ってこれも満喫。ああ、なんか充実したGW初日だったなあ。
posted by やすだ at 22:29| 埼玉 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 渓流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月16日

4/14 07初ヤマメ!!

2度目の秩父。
今日はまささんが来られなくなり、バルさんとふたりだ。
まずは、荒川本流へ。
IMGP0884.JPG
アブラハヤがライズしてるんだけど、小さすぎるから22番のフライも食えないみたい。
堰堤をふたつ分上がったけど、ヤマメの姿を確認する事はできなかった。
IMGP0885.JPG
あ、バルさんは2回くらい出たみたいだけど。
バルさん曰く、
「昔は、ここでイヤってくらい釣れたんだよ」
だって。ああ、オレもヤマメを「イヤってくらい」釣ってみたいよ。
移動。
天然ヤマメを求めて、奥へ奥へと向かったんだけど、所々渓流が管釣り状態に混雑してる。
どうやら、放流があるらしい。そこに釣り人が溜まってるんだって。
これじゃあ、魚も増えない訳だ。
要するに放流しても、それを狙ってどんどん釣られちゃうんだからね。
あ、巨大なダムも通り過ぎたよ。
IMGP0887.JPG
バルさんが昔通っていた頃にはまだできてなかったんだって。ダム建設は渓流魚にもすごい影響を与えるんだろうね。もはや、ここから海に下って登ってくるってのはいないんだろうけど、秋が瀬とか玉淀とか人間が作ったものによって、どんどん魚の生き方も制限されるよね。ま、ここでランドロックのサクラマスが育つ可能性はあるんだろうけど。
それを横目に、最上流へ。
ここもバルさんのとっておきのポイント。
かつては絶対釣れたんだって。
堰堤の下の深くなってる所には、確かに魚が泳いでる。
ドライからニンフ、マラブーの引っぱりまでやったけど、反能無し。
IMGP0888.JPG
バルさんがルアーで攻めたら、アタックがあったよ。しかも、足元まで追いかけてきた。
養殖物とは色が違ったね〜! 天然ものすげえ! 釣ってみてぇ〜!
んでもってオレにはなんにもなし……。
昼は手打ちのそばやに入ったんだけど、値段が高い割にイマイチ……。
やっぱり、渓流を楽しむためにはお食事処も開拓しないとね。
午後は当初から目をつけていた浦山川上流へ。
ここでバルさんはお昼寝タイムとなった。
ここぞとばかりに崖を降りる!!
バルさんはけっこう簡単に行けるとこしか行かないから、冒険はひとりになってからw
下ってきてスレ違った餌師に聞いたら、先の堰堤に魚はいつけど、食わせられなかったそう。
さっそくその堰堤をルアーで攻める。
水深がありそうだったので、ベビーシャッド40SPをいったん潜らせてから、細かいトゥイッチだ。
すると、その3投目! モワン……って重くなった。上から水が滝のように落ちてる急流の中だからアタリも判別しずらいね。アワセを入れて一気に巻き上げる。
やった〜!
IMGP0900.JPG
今年、渓流初フィッシュ!
IMGP0898.JPG
IMGP0903.JPG
16センチとお子様サイズ、たぶん放流ものだけど、大満足だよ。
で、戻ろうと思ったんだけど、下りる時は良かったんだけど、登ろうにも登れないw
仕方なく上がれるポイントを探しながら釣り下ってたら、またチェイスあり!
角度を替えて何回か攻めたけど二度通ってくる事はなかったよ。
結局、上がれるところは1kmくらいなかったw
途中、細い沢も登ったりして、たっぷり2時間冒険した。
車に戻って昼寝後、釣り再開。夕方のライズに賭ける!! ……と思ったんだけど、ライズがない……。
魚が薄過ぎるのか、それともスレまくってるのかなあ。
最後は前回も行った浦山の荒川出会いへ。
フライ投げたけど何もなかったね。
IMGP0905.JPG
バルさんがナマズ見たって。いるんだねこんな上流にも。
ハヤのライズも狙ったけど、なぜかドライに出ないよ。
んなワケで終了!
とりあえず、ヤマメが1匹釣れて大満足。
ルアーで釣れたから、これでルアーフィッシングは封印。次回はフライオンリーで渓流フィッシュを目指すぞ〜!
posted by やすだ at 10:22| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 渓流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。